愛して野良猫
「刃は永久様の犬でした」
陽炎が静かに
しゃべり始めた
「刃は忠実に、永久様の言われる仕事をこなしていました」
「…なら何故……父さんは刃を?」
「刃はしてはならぬミスをしたのです」
「ミス‥」
「永久様に怪我をさせてしまったのです」
陽炎の瞳は‥
悲しみの色に変わった
「…私も行けばよかった。そうすれば‥刃が死ぬこともなかった…」
「陽炎…」
俺はゆっくりと陽炎に近づいた
陽炎の瞳からは‥
一滴の……
涙が流れ落ちた