愛して野良猫
俺は或都を
チラッとみた
或都は俺に気付くと
しっかりと頷き
子猫達に下がるように
言い始めた
俺は父さんに
近づく
父さんは息を切らしながら
ゆっくりと立ち上がった
「父さん。俺は…浬音のように、優しい人間にはなれません…………だから…貴方をこのまま逃がすわけにはいかない」
俺はナイフを或都から
受け取った
…浬音
俺はお前みたいに
優しい人間になりたかった
でもそれは無理だった
俺等は双子だが
心の広さが違った