ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜
「あ〜あ。終わちゃったな…。」

杉山は、春先の事を思い出し空を見上げた。


「終わり?何が?」

突如した背後の声に振り返った杉山の目の前には、待合室の女の子がいた。

外の明るいところで見ると女の子というより、少女って感じだ。中学生にはなっているだろう。

ただ、肌が白すぎ、体の線も細いように見えた。

『以外と可愛いかも。気、強そうだけど…。』

少女の睨みつけるような視線に気付き、視線を外し

「だって終わりだからさ。もう一度甲子園で戦いたかったよ…。」

杉山は右手の縫った痕を見た。
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