ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜
そして、杉山の退院の日。杉山と奈月は、
正面口にいた。


「じゃ、一足先に…。」。

「うん、元気で…。」。

「これ…。」。

杉山は携帯の裏を見せた。

そこには貰った奈月のプリクラがあった。

「あっ!」。

奈月が赤面になって携帯を取り上げようとした時、
杉山は駆けて病院を出て、奈月は追うのをやめた。

このドア一枚は、二人に確実な距離を齎すドアだった…。
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