ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜
『どうやって謝ろう…。』

消灯後のベッドの中であれこれと杉山はシミュレーションを繰り返していた。


その時…。


「うっ…うっ……。」


隣からだ。イビキでも寝息でもない。

「すぐさん?」

返事がない。

「すぐさん…、開けるよ…。どうしたの?」

カーテンを開けて見てみると、卓爺さんは寝ていた。

「なんだ、寝言か…。」

杉山はホッとしつつカーテンを閉めかけた。


でも何かが変だ。
注視して、そして気付いた、体のどこも動いていない事に。


「すぐさん!」

夜中の病棟に杉山の声が響いた。
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