━ Are You Happy ? ━

■ツルツルの脳


目が覚めた時

電気の点いてない部屋は真っ暗で

テレビがチカチカと眩しかった





背中を向けていたはずの翔は


何故か私を包むように眠っていて

寝息が

私のほっぺたにかかって

くすぐったかった…





私に巻き付く翔の腕を

ゆっくり退かして

なるべくスプリングが揺れないように

ベッドを出た





賑やかなバラエティ番組を流すテレビを消すと


翔は眉間にシワを寄せ

寝返りを打った





重低音を響かせていたプレイヤーは

眠ってるうちにバッテリが切れたみたいだった





暗くて

静かな部屋





翔は毎日


ここでこうして眠ってんだね


朝が来るとここで

目覚めんだね





私以外の誰かが

どんな生活を送ってんのか

なんて


そん時初めて考えた





人が生きる ってコトなんて当然で


ましてそれが


何のためで

誰がため


なんて


私のこの


ツルツルの脳ミソには微塵もなかったよ








暗い翔の部屋を出て


暗い道を歩きながら考えた








私、そういえば今日


フられたんだった


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