━ Are You Happy ? ━
□ただ傍に…
再び翔が出て来ると
何も言わず
私に長袖のシャツを掛け
背中を押して歩き出す
エレベーターに乗れば
『うち…今日みんな居るからさ…』
って
部屋に入れれない理由を
申し訳なく話した
私は小さく首を横に振る
エントランスを出て
立ち止まった翔は
私に掛けたシャツを捲って
『お前は露出狂か』
って笑った
『犯されても文句言えねーぞ』
って呆れて
.
『出すのは 肌 だけで充分だろ…
血ぃ まで出す必要ねぇ…』
って
ちょっと怒った
『…犯されたの…?』
不安気な声に
精一杯首を振る
『何されたら
こんな傷になんだよ…』
捲ったシャツの下の
キャミソールの胸元を
優しく撫ぞるその声は
悲しそうだった
『帰れる?』
『…無理……』
『送ってやろうか?』
『やだ……』
こんな時だけ都合良く
縋ってごめん…
だけど
『…一緒に居て…』
『そんなんじゃドコも行けねーだろ……』
行く所がなくてもいい…
ただ傍に
居てくれるだけでいい…
『ドコ連れてかれても文句言うなよ?』
私に掛けたシャツのボタンをひとつだけ閉じた翔の手は
そのまま下に降り
私の手を取る
繋がった手は
ゆっくりと引かれ
私たちは繁華街に向け
歩き出す