━ Are You Happy ? ━

□新学期


どんな顔して


どんな会話をすればいいんだろう


そんなことを考えながら

登校した

2学期、初日











翔と シた日


あれから私は翔に連絡しなかった


と言うより

できなかった


“ごめん”が意味するものを

探し求めると


自分からは踏み出せなかった





翔からも

連絡はなかった


だから

翔にとって あの日 は

なかったこと

に、したいんだろうと思って

自分自身に“遊び”だと言い聞かせた











私の身体の傷はキレイに消えたけど


新しく付いた心の傷が

シクシク痛む 9月














誰かが教室に入ってくる度

ドキっとして


それが 翔 であった時のために

笑顔の用意をして振り返る








始業チャイムが鳴り


教室に居る者たちは

朝礼が行われる体育館に向かう


私の用意した笑顔は

向ける相手が現れずまま

制服の波に紛れた

















校長の長くだるい話しは

毎度のことで


誰も聞いちゃいない





ただ今日は








「……先生は 一身上の都合により
8月末付けで退職されましたので…代わりと致しまして……」





翔を弄んだ

あの先生 の話題が出たので

舞台の上の校長に目を向けた





おかしいな


と思ったのは


“一身上の都合”

“8月末付け”





翔がいないことと


何か関係があるような


ヤな予感がした



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