━ Are You Happy ? ━
□涙
翔と一緒に部屋を出て
エレベーターに乗って
エントランスを抜けて
歩道を歩く
何度か翔と
一緒に歩いた道を
こうしてまた
並んで歩く
自然で
普通なんだけど
今日が最後なんだ って思うと
やっぱり寂しくて
駅に向かう足取りが
ほんのちょっとだけ
遅くなる
10月だと言うのに
午後の陽射しは厳しかった
秋空は
青く澄んでいて
新たな旅立ちの日に相応しい
『俺がいなくなったら寂しいだろうけど……』
『寂しくないし』
晴れの門出に
相応しくない強がり
『そーですか』
今日は駅までの距離が
すごく早く感じた
別れの時が
刻、一刻と迫る
駅の階段を上って
改札で翔は
荷物を下ろして
改めて 私に向き合った
そんなことされると
あぁ…これで最後なんだな って
もう翔は私の傍から
いなくなっちゃうんだな って
実感がわいて来て
泣かずに
笑顔で バイバイ
言おうと思ってたのにさ
ダメじゃん…
目の前がぼやけて
翔の顔すら
見えないよ
ちゃんと見たいのに
翔の顔を…
この目に焼き付けたいのに…
嫌らしい未練を許さない
私の涙