―Silver―





ライブが終わってぞろぞろと帰るファンの子達。

外は大雨で出待ちをする子はほとんど居なかった。

たかがvisual系のマイナーバンドと、そう思ってる子がたくさん居る中で私は一人出待ちをした。

ザァーと降り注ぐ雨を退ける傘などもちろん無い。





…帰る場所も無い。

私にはお父さんが居なくお母さんは女手一つで私を育ててくれた。

そんなお母さんは夜の仕事、つまりはキャバクラのママ。

家に帰っては寝て起きてはすぐに仕事に行く。
私が起きる頃には玄関に3万置いてある。

それが続いてもう6年になる…
私は今年で18歳、12歳からこの状況だ。

いつが最後かわからないくらいお母さんとしゃべっていないことにどこかで私は寂しさを感じ、私もお金だけを取りにいくくらいしか家には帰らなくなった。



楽して生きてるのかもしれない。



でも…



辛いということから逃げてるという方が正解に近い気がする。






< 4 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop