呪女
今では近寄ってくる人も減り、教師から見られる眼も冷たいものへと変わってしまった。

成績も落ち込み、見かければ明らかに落ち込んでダメージを受けた姿になっている。

「ダメよっ! まだ足りない! もっともっと、アイツを『不幸』にしてよ!」

彼女は必死の形相で、わたしの両肩を掴んできた。

チラッとお墓に視線を向ける。

彼女は山で咲いている花を、毎日供えに来ているようだった。

きっと消極的な彼女にとって、ペットが唯一、心許せる相手だったのだろう。

それを理不尽な出来事で奪われた気持ちは分からなくはないけど…。

「でっでもコレ以上、『不幸』にするのなら、アナタも彼もただでは済まないわよ?」

一瞬、意志が揺らいだように見えた。

けれど次の瞬間には、きっぱりと言った。

「―構わない。アイツが『不幸』のどん底を味わうなら、どうなったって構わない」

…若いって、良いことでもあるけど、ダメな部分もある。

怖いモノを知らな過ぎるのだ。

「…本当に、どうなっても構わない?」

「ええ。だからお願い! アイツを『不幸』にして! 立ち直れないぐらいの、ダメージを与えてよ!」

「はあ…」

深くため息をついた。

この暴走、何を言っても最早止まらないだろう。

「…分かったわ。彼には最上級の『不幸』を与えれば良いのね?」

「やってくれるのね! ありがとう!」
< 10 / 20 >

この作品をシェア

pagetop