呪女
彼が本当は事故ではなく、殺されてしまったのだということを。

そう…あのペットのように。

 ザアアア…

「豪雨、とも言えなくないわね。この雨の勢いは」

わたしは傘を差しながら、山のお墓の前に来ていた。

花屋から買った花束をお墓に供え、手を合わせる。

「お花、ありがとう」

声を聞いて、振り返る。

傘を差しながら、彼女が笑顔で立っている。

しかしこの笑みは、ペットのお墓に花を供えたから生まれたモノじゃない。

別の意味があることを、わたしは知っている。

「…コレで満足?」

「ええ、大満足よ。アイツ、このコと同じ死に方をしたんだもの」

彼女は笑いながら、石を撫でた。

…これで亡きペットが喜んでいるのか、分からないものだ。

「ちょっと言い方違うんじゃない?」

「ああ、あなたのおかげもあるわね。アイツを精神的に追い詰めてくれたのは、あなたの力があったからこそだから…」
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