呪女
彼女も彼が流しているウワサでかなり傷付いているみたいだし、聞いた生徒達も半信半疑とちょっとヤバイ空気が流れている。

彼女がいくら否定しても、彼が次から次へと流すからキリがない。

それにこう言ってはなんだけど、彼と彼女では人望が違う。

社交的な彼と、消極的な彼女。

正反対だからこそ、余計にだ。

「まずはウワサを変えようかねぇ」

背伸びをして、近くにいるグループの中に入った。

そこでの話題は彼女のことだった。

何でも教師の一人と、不倫をしているとか…。

苦笑しながらまずは話を聞く。

「そうなんだ。そう言えばさぁ、ちょっと聞いたんだけど…」

わたしは自然に話を逸らす。

人のウワサに対抗できるのは、同じく人のウワサだけ。

また好奇心の強い高校生達は、こういう話題が大好きだときている。

「ええ~?」

「ウッソー」

思った通り、聞いても信じられないという顔をされた。

「まあわたしも聞いただけだしね。本当かどうかは分からないわよ?」

わたし自身もあやふやであることを言う。

そして話題は変わる。

―コレで良い。

ここであまり主張を強くしても、怪しまれるだけだ。

ウワサを流すのは一日に一度だけ。

そして前に言った人達とは、また別の人達に話す。
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