忠犬彼氏。
「別れ話でもするのかな?」
別れ話?
ヒヤリと背中を何かが伝う感覚に襲われた。
いや、落ち着け私。
一体何を動揺してると言うんだ。
「誤解生むようなこと言うんじゃねぇよ!」
「柴……?」
なんか今、駄犬っぽいよ?
そんなんじゃ、ダメだよ?
「何よ、昔は付き合ってたくせに」
付き合ってたんだ……。
あ、まぁ、でも……そう、だよね。
おかしくない話。
紗耶ちゃん、可愛いし……。
「昔の話だろ!」
「そうだね、稟汰は今、璃子先輩にぞっこんだもんね」
「ぞっ!?」
そう言ったのは柴じゃなく私だ。
だって、ぞっこんって何だよ!
「そうだよ、だから俺さお前のこともう相手してらんないの」
柴?
私今アンタが何考えてるかわからない。
アンタ私の犬じゃん。
何勝手に飼い主の許可なしに話進めてんの?