忠犬彼氏。
「アンタさっきから……」
啖呵を切ろうとしたとたん
「紗耶香!!」
柴の言葉に遮られた。
「いい加減にしろよ!お前先輩の何知ってんだよ!?
女王様!?そんなんじゃねぇよ!」
柴……。
「ただ、少し不器用なだけで、すっげぇ優しいし……」
もう、いいかな。
「柴」
嫌がらせとか、知らない。
やりたいならやればいいよ。
「いいよ、庇わなくて、いい」
誤解されるようなことをしているのは私。
だから、そう言われても仕方ない。
だって私誤解されるためにあんな態度とっているんだから。
皆知らなくていいと思ってた。
華音と美那都だけが知っていれば充分だった。
でもさ、やっぱりそんなの嘘だ。
知ってもらえただけで、こんな嬉しい。
泣きそうなくらいに。
「アンタ、まじ忠犬」
そう笑って言うと柴はニカッと笑う。
「忠犬柴公ですから」
バカだよね、アンタって。
紗耶ちゃんにしておけばいいものを
こんな面倒な方選んじゃってさ。