忠犬彼氏。
もう、私の位置じゃ二人が何を話しているかわからない。
だけどさ、利用される、それは嫌だ。
嫌だ、嫌だ、嫌だ。
嫌がらせは、慣れてる。
理不尽な理由もたくさんあった。
ありもしない噂を流された。
だけど、私はそこにはいなかった。
だから傷つかなかった。
直接言われても、常に私はそこにいない。
本当の、私はそこにいない。
青田璃子は、あの日死んだから。
立ち直るには、青田璃子を殺すしかなかった。
殺せば痛みは減る。
けど傷が増える。
それでも構わないと言ったのは私。
本気になることほど恐ろしいことを私は知った。
「あれ?璃子?」
「あ……」
「やだー久しぶり」
璃子、なんて呼ぶから華音かと思っちゃった。
よく見れば、ここ私の地元じゃん。