忠犬彼氏。
私たちはそのまま街を走り抜けた。
私より足の速い柴に引きずられるようにして私も走った。
柴のことを、異性として意識している、と言ったら嘘になる。
柴は本当にペットの様な存在。
ほっと出来て、嫌いになれない。
でもそれじゃあ私は柴の想いにちゃんと応えられない。
曖昧が一番いけないのはわかってる。
応えてあげないと、と思ったのはいつぶりだろうか。
「ハァッハァッ……柴、多分もう、抜けた……」
ココまでくればもう大丈夫だろう。
「飛ばしすぎましたか!?」
悔しいな、少し息は切れてるものの、私みたくゼーハーゼーハー言ってない。
やっぱり体力の差か……くそ!
「ううん、よくやったじゃん」
「えへへ」
顔をくしゃくしゃにして笑う柴に、また安堵感を覚える。
変なの。
「じゃあゆっくり歩きましょうか」
柴は多分最初から私が話す気がないのを知ってる。