忠犬彼氏。
┗柴に対しての安堵感
私はズルい女。
「柴はさ、私なんて止めて紗耶ちゃんを好きになったらいいのに」
私がポツリとつぶやくと、柴は目を見開いた。
ごめんなさい、知ってるよ。
そんなこと言われたくないの。
言われたら辛いことも。
全部全部知ってるんだ。
「璃、子先輩……」
私なんて止めなよ
何度もそう言った。
だけど今回ばかりは……。
「何でそんなこと言うんですか……」
「私を好きでいたって報われる筈がない」
「先輩はどうしていつも逃げるんですか」
やっぱり柴にはバレてたか。
薄々は気づいてた。柴にはバレてるって。
「どうしてかな」
「茶化さないで下さいよ」
調子、狂うな。
「俺の気持ちも、他の奴の気持ちも真剣に向き合おうとしてない。
それは何故ですか!?」
「それは私がズルい女で臆病者だからじゃない?」
嘘は言ってない。
たださ、向き合わない理由、言いたくないし。