忠犬彼氏。
確かにアンタは私の中に存在するんだよ。
「ごめん、何か頭ぐちゃぐちゃ……帰る」
「先輩……」
恋とか、そういうんじゃないとは思う。
そんな淡いものなんかじゃない。
私は高校生になって、常に一線を引いてきた。
華音や美那都でさえもほんの少しの線が存在する。
人は、裏切る生き物だから。
私は自宅のマンションに着き、鍵を開け中に入る。
一人では広すぎる部屋。
雑風景な部屋。
それでもいい。
むしろそっちのが落ち着くかな。
掃除も楽だし。
『変な璃子』
何年経っても彼女はきっと変わらない。
それでいい。彼女は彼女のままでいてほしい。
「バカ、みたい」
感情に流されるのは、命取り。
もう私はバカな真似はしない。
「犬は犬。」
そう、柴はただの犬。
ただの後輩。
それ以上でもそれ以下でもない。