忠犬彼氏。


柴は何故かパアァと笑顔になった。

「そしたら先輩と学校着くまで二人きりですね!」

そうだった。
忘れていたよ。
コイツに好かれてんだった。

もうバッチリ懐かれてんの忘れてた。


「万が一そうなったらダッシュで逃げる」

「俺のが速いのに?」

「うっ……」

ぐうの音もでないとはまさにこのこと。
言い返せない!

「で、でも走ったら時間は短くなるじゃん!!」

「先輩はそんなに俺が嫌なんですか?」

そんな目で見られたら

なんて言えないじゃん。

「べ、別に嫌ってわけじゃないし!」

ああ、もう!私のお人好し!!

「それなら問題ないですね!」

誘導尋問されてる人ってこんな感じなのかな。

「問題大ありだっつーの」

危ない危ない。
丸め込まれるところだった。
そんなことがあってたまるか!


「あー来た来た、華音たんほら立って!」

< 117 / 204 >

この作品をシェア

pagetop