忠犬彼氏。
柴は何故かパアァと笑顔になった。
「そしたら先輩と学校着くまで二人きりですね!」
そうだった。
忘れていたよ。
コイツに好かれてんだった。
もうバッチリ懐かれてんの忘れてた。
「万が一そうなったらダッシュで逃げる」
「俺のが速いのに?」
「うっ……」
ぐうの音もでないとはまさにこのこと。
言い返せない!
「で、でも走ったら時間は短くなるじゃん!!」
「先輩はそんなに俺が嫌なんですか?」
そんな目で見られたら
嫌
なんて言えないじゃん。
「べ、別に嫌ってわけじゃないし!」
ああ、もう!私のお人好し!!
「それなら問題ないですね!」
誘導尋問されてる人ってこんな感じなのかな。
「問題大ありだっつーの」
危ない危ない。
丸め込まれるところだった。
そんなことがあってたまるか!
「あー来た来た、華音たんほら立って!」