忠犬彼氏。


ま、そんなこと口が裂けても言えませんけどね。
言うときは死ぬときか死にたいときかこの世に絶望したときだね。

それ以外じゃ絶対言いたくない。
だって命惜しいし。



「りっこにゃん」

「ひぃっ!!み、美那都!?」

いきなり抱きつくなよ気持ち悪いな。

「なんかさー、ああやって華音たんと柴にゃん見てるとさ、思うんだよね」

「お似合いだって?」

だいたいこういうこと言う人はそう言う。
だけど美那都は違った。

「ううん」

そう、首を横に振ったのだ。

「やっぱり、璃子にゃんと柴にゃんがお似合いだなって。
なんかさ、やっぱりどっか違うんだよ」

お似合い、ね。


『璃子と彼氏お似合いじゃーん』

「付き合わないけどね」

「璃子にゃん意地になるのはやめなよ?」

意地?ああ、他人からみたらそう見えるのかな。

「そうじゃないんだってば璃子にゃん」

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