忠犬彼氏。
┣取り引き
「じゃあ先輩、取引しませんか?」
取引?
「具体的には?」
「そうですね、先輩は私の恋に協力すり。
私は先輩の過去をバラさない」
「確かにソレはおいしい取引。
だけど受ける訳には行かない」
「何でですか!?」
バラされても構わないわけじゃない。
だけど、私は他人に手をかすなんて真似絶対にしない。
過去のトラウマはいつも私に囁きかける。
――他人に手をかして何になる
と。
「私、他人に手をかさない主義だから」
「そんなこと言って後悔しますから」
紗耶ちゃんはそう言って走り去っていった。
後悔しますから、ね。
「さてと裏から手を回しますか」
裏と言っても樋山(兄)だけど。
柴との縁を切る。
簡単に言えばそういうこと。
私、最近柴と縁を切るなんて全然考えてなかった。
心境の変化?
柴なら平気だって?
気を緩めるな。
また、後悔するぞ。