忠犬彼氏。
「もう一度聞きます。
紗耶香にナニされたんですか」
「もう一度言う、何もされてない」
はぁ……と柴は盛大なため息を吐くと樋山を呼んだ。
「樋山先輩、一体紗耶香は璃子先輩に何をしたんです?」
ちらりと樋山は私を見てきた。
「言うな」
「言って下さい」
「言ったら殺す」
「言わないと八つ裂きです」
「あるえー?どっちに転んでも俺の命なくね?」
樋山はやっぱりそういう役割なんだよ。
「でも青田さ、俺に詳しい内容は教えてねーじゃん」
まぁ確かにそうだけど……。
「わかった、わかったから、あーもう」
結局こうなるんだ。
「柴、一度しか言わないからね」
「はい」
「紗耶ちゃんは私のことを調べ、私の弱味を握った。
それを餌に私を柴から引き離すため脅した。」
まだ脅されたわけじゃないけどいっか。