忠犬彼氏。
「柴は悪くないじゃん」
「いや、でも」
「だって悪いのは沙耶ちゃんじゃん」
だからあんまり自分を責めんな
そう言って柴の頭をくしゃりと撫でた。
その言葉はもしかしたら自分に向けて、言ったのかもしれないと、そう思った。
「わわっセットが乱れるじゃないですかー」
あせあせと髪の毛を整え始めた。
「え、セット?」
「してますからね」
してないのかと思ったじゃん。
「よく言われますー」
「はいはいふてくされないふてくされない」
「子供扱いィィィ!!」
うん、その反論は頭をなでたあたりにしたほうがよかったと思うけどな。
「それにしても青田の弱味なぁ……」
「じろじろ見んな気持ち悪い」
「ガーン、今のは結構来たぜ」
「あっそ」
「こんな隙がないのにな」
「黙れ」
「何でそんなに俺ばっかりに冷たいんだー」
「「いじりやすいから」」