忠犬彼氏。
「お前本当にいい加減にしろよ!」
「何よ、私知ってるんだから、お兄ちゃんがコイツのこと好きなの」
「は!?えっお前っ待て……」
「樋山……」
「青田?」
知らないわけない。
気づかないわけない。
だって、あんたの瞳はいつも愛で溢れてた。
でも
「あんたはもう私を好きじゃない」
恋は好意へと、ただの友達へと姿を変えた。
「青田……」
「な、何よ!稟汰もお兄ちゃんも……」
「紗耶香……」
柴はそれだけ言うと黙りこくってしまった。
「ねぇ稟汰、私のこと軽蔑した?呆れた?嫌でしょうこんな嫌な女」
柴は何も言わなかった。
「でもさコイツの方が、断然汚いんだから」
「紗耶ちゃ……」
何てこと言うんだよ!!
「コイツの過去聞いたら絶対引くから。」
「紗耶香……」
柴はゆっくりと口を開いた。
「お前そう言って璃子先輩を脅したのか?」
柴の声はひどく冷静で、冷たかった。