忠犬彼氏。
「いい、もういいよ二人とも」
「璃子、でもあんた……」
「悪いのは柴でも樋山でもない。
トラウマと、私だから」
私がこんなにも不安定だからいけない。
そんなことくらい知ってる。
「トラウマって……」
「樋山きゅん、もう本当にやめて!」
美那都の悲痛な声が響いた。
ああ、私が彼女をこんなにも苦しめてる。
とんだトラブルメーカーだね。
「璃子にゃんをこれ以上苦しめないで」
「私、保健室で休んでくる」
私がここにいちゃいけない。
私……また後悔してる。
「えっ……ちょっ待ってよ璃子!」
私は華音の言葉を無視して保健室に向かった。
とにかくひとりになりたかった。
今は誰とも話したくなかった。
いや、話せる状態なんかじゃなかった……。
保健室の扉の前で一つ溜め息を吐き、戸を開けた。