忠犬彼氏。


「失礼します」

蚊のなくような声でそう言って一番奥のベッドに潜り込んだ。


私、これからどうしよう。

柴を拒絶して、クラスの皆にそれを見られた。

私は一体どういう顔をして皆に柴に会えばいいの?


『璃子』

こんなときまで、私の名前を呼ばないでよ。
呼んでほしくない。


もう私の中から消えてほしい。


何故私がこんな風にならなくちゃいけないんだろう。
幾度もそう思った。

そう思う度に一つの結果に辿り着く。

私が不幸で他の人が幸せになれるんなら
と。

そんな私を
そんなの所詮偽善にすぎない
そう嘲笑おうが関係ない。

そんな偽善が私の崩壊を防いでいるのだから……。
偽善、偽りの善でも構わない。

ただ私がここにいてもいい理由となるならばそれで構わない。


私は理由がなくても立っていられるほど強い人間じゃないから……。

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