忠犬彼氏。
こんな困った顔をさせて私は一体何がしたいんだろう。
これを恋だとか愛だとかと呼べるならば説明はつく。
だけどそんなのとは違う。
それじゃあ、何?
「璃子先輩……俺は大丈夫ですよ」
柴は違う。
何度もそう言い聞かせても、怖いと思う。
もう、ダメなの?
「先輩、ペットは最後までちゃんと飼って下さいよ」
痛い。
柴が、そう嘆いてるように聞こえた。
辛そうにさせてるのは、私……。
「私も捨てたくなんか……」
ない。
でも期待させてどうしたい?
「……なんでもない。」
私はまた柴に背を向けた。
「ごめん、帰って」
私の今の精一杯の冷静そうな声でそう突き放す。
でも微かに私の声は震えていた。
カッコ悪い。
「先輩……」
「いいからもうどっか行って!!」
叫ぶつもりなんて微塵もなかった。
だけどもうこうするしかないじゃん?