忠犬彼氏。


「あれれ、何してんのさ」

「過去に戻るように頑張ってんの」

「何、璃子にゃんは時をかけたいの?」

「うん」

あーでもあれ痛そうだなぁ。

過去に戻ったときのあの戻り方?

あれは嫌だ。


「で、璃子が過去に戻りたい理由はなんなの?」

華音様はいつでも冷静だった。

「え、説明すんの?しないとダメ?」

「ダメに決まってんでしょーが!」

「はいはい」

「はい、は一回!」

華音は華音様でも観音様でもなく
お母さん、だった。


「取りあえず、さ」

「うん」

「騒がないでよ」

話す前に前置きをしておいた。

いや、まぁしても奴らのことだ、絶対騒ぐ。


「どこから?」

「保健室あたりから」

私はとりあえず付き合うことと、付き合うことになった経緯を説明した。

あ、勿論私が泣いた件(くだり)は言わなかったけど。


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