忠犬彼氏。


「り、璃子が受け入れている!!」

「璃子にゃんが柴にゃんを引っ剥がさない!!」

私の親ゆ……いや友達(多分)は何気にひどかった。

友達の変化くらい素直に喜ぼうよ。


「だって俺、璃子先輩の彼氏ですもんねっ!」

「だから一応って」

っつか柴がそんなことをクラスで堂々と公言するからまたクラスメートが噂し始めた。

全く噂好きが多くて困る。


「でも先輩ったら以前よりも相手してくれてますよね!!」

さらに懐かれた気がする。
私はムツゴロウさん違うから。
懐くなら別の人に…………だなんて今更言っても遅いことくらい、知ってますって。


「青田、何だろうなこの娘を嫁に出すようなこの複雑な心境は」

「私とあんたそこまで親しくないだろ」

樋山はサラサラと風化を始めた。
もうそんなことではクラスはざわつかない。

樋山は完全放置プレイだ。


「俺、早く璃子先輩の一番になりたいです」

私だけに、聞こえる声。
なんというか、こそばゆかった。


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