忠犬彼氏。
痛いほど伝わった柴の気持ち。
見てるだけでこっちの心が張り裂けそう。
「柴はいつまで待ってくれる?」
私はもしかしたらもう恋ができないのかもしれない。
臆病になった私は、恋とかときめきとかいうキラキラした感情を全てしまい込んでしまったから。
「そんなの、わからないですよ」
よかった。
密かに心の中で呟く。
ずっととか、一生とか言われたら、重すぎて私にはきっと背負えなかった。
「明日にはもう嫌になってるかもしれないですし、もしかしたら死ぬまで待ってしまうかも……
でも、未来なんて誰にもわからないんです。
だから…………」
だから、なるように、なる。
未来がわかるとしたら、それは神様か大嘘つき者。
「でも、璃子先輩」
柴を見れば、穏やかな顔をしていた。
優しい、愛おしむような顔。
確かに柴は“男”だった。
今もそれを感じる。
なのに、不思議と他の男子とは違い、離れたくない。が勝つ。