忠犬彼氏。
この感情を、私はなんと呼んだらいいんだろうか。
恋とも、友情とも違う。
太陽みたいな、水みたいなそんな感じ。
太陽や水、食べ物や空気がなければ私たち生き物は死んでしまう。
絶対不可欠なものに近いと思う。
「璃子先輩の男嫌いなんて俺には障害にすらなりませんよ」
強がり。
私がそうからかえば決まって柴は
事実ですよ
と、返す。
あんたを見ると思ってしまう。
このままでいいんじゃないかって
このまま彼に流されて彼のモノになってしまってもいいんじゃないかって。
でもそれって、違うよね。
「ねえ柴……」
「璃子先輩、俺の名前は稟汰ですよ。羽柴稟汰です」
愛称なんだからいいじゃん。
「少しずつでいいんで、呼んで下さいよ!!」
「調子のんな」
やばいやばい。このままじゃ本気で流されてしまう。
そんなことがあってたまるか。
「っつかあんたたちいつまで教室でイチャコラするつもり」
「そーだそーだ!にゃんにゃんするなら二人きりでやりなさいよー!!」