忠犬彼氏。
「美那都ちゃーん?」
「あわわ!ごめん嘘、嘘だってばー!!!」
その後美那都の悲鳴が学校に響きわたったのは言うまでもない。
そして、気が付けばもう放課後だった。
「璃子せんぱーい!」
お決まりになった柴、いや、違った、稟汰のお迎えにクラスメートたちは無反応。
慣れって怖い!
「璃子先輩?」
「え?」
何々?
し……じゃなくて稟汰、そう、稟汰。
稟汰は私の顔を凝視してきた。
「なんか、ついてんの?」
「やっぱり俺……」
俯く柴……稟汰。
「無理っす!!」
そう言って柴、稟汰は私に抱きついてきた。
「うわぁっ!柴っ離れなさいっ……!」
「俺は稟汰ですって」
私の肩に顔を埋めながら少し寂しそうに言った。
「俺だけ……」
「へ?」
「先輩のこと、俺ばっかりが好きだ」
切ないその声は稟汰の気持ちが痛いほど伝わった。