忠犬彼氏。
「嫌っ、やめて!!」
私は稟汰から離れて紗耶ちゃんにすがりついた。
「本当に、やめて……」
「クスクス……あの青田璃子が、私に向かってこんな必死なんて……いいものね」
狂ってる。
私も、紗耶ちゃんも、あの人も。
皆、一緒だ。
「紗耶香!」
「稟汰に怒鳴られたって怖くないんだから」
すがりつく私を見下す紗耶ちゃんは、大好きな稟汰さえも鼻で笑った。
「紗耶ちゃん……本当に、バラすの?」
「さぁ、どうかなぁ……」
バラされたら、今まで私がやってきたことが水の泡になる。
「ねえ稟汰、稟汰も知りたくない?」
ニヒルな笑いを浮かべる紗耶ちゃんの瞳は虚ろだ。
何を考えているのか、わかるようでわからない。
「大好きな璃子先輩の過去と、本当の青田璃子を」
「やめて……!」
私の悲痛な声が響いた。
本当に、やめて、と。