忠犬彼氏。
「バラされたくないんですかぁ?」
当たり前でしょう、そう言う意味を込めてギロリと睨んだ。
涙でグシャグシャになった顔じゃ、迫力はないとは思うけど。
「悔しそうですね」
「当たり前、じゃないの……」
「嬉しいなぁ、璃子先輩の泣き顔を拝めるなんて」
本当にこの子は樋山の妹?
あの馬鹿っぽい好青年(?)みたいなアイツの……?
「先輩、イイコト教えてあげましょうか?」
心底楽しそうに、笑うんだな。
でもやっぱり瞳は虚ろ。
「私がどこからハッキングしたか、私が誰からソレを教わったか」
知りたい。
でも、知りたくない。
知ってしまったら関わりが出来るような気がして……。
「あ、でも先輩が迷ってても稟汰は知りたいよね?」
稟汰……。
「璃子先輩が嫌だって言うなら聞かない」
「そんなイイコぶらなくていいよ?
本当は凄く知りたいんでしょ?」