忠犬彼氏。
「羽柴 禀汰」
そう言ったのは私でもなく、柴でもない。
「だろ?」
誰。
「ひ、樋山(ヒヤマ)先輩!」
ひやま?
何か聞いたことある。
「何で青田が不思議そうな顔してんだよ」
好青年って感じだね。
うんうん。
陸上部って顔してる。
「誰」
「誰、ギャハハ!」
あ、美那都。
ここで笑うか!
ツボがわからん!!
「あんたねぇせめてクラスメートの名前くらいは覚えておきなさいよ」
「クラスメート?」
え、じゃあこのひ、ひや……ひ……君は、クラスメートな訳?
「えっと……」
「あは、知ってるよ。
青田、男の名前覚えてねーの」
「何で……」
そんな事知ってんだ?
ま、まさか、ス……ス……
「ストーカー!?」
「違うわ!!」
「あ、違うんだ」
「ってか何で知ってんの?」
「だってお前男にだけ異常に冷たいし、名前呼んでんの見たことねー」
あ、ああ……そんなことか。