忠犬彼氏。


「知りたくないわけ、ない……でもやっぱり俺は先輩の気持ちを尊重したい!好きだから、璃子先輩が」

なんでアンタそこまで私に尽くすの?

チラッと稟汰を見れば、目があった。
稟汰は私と目が合うとニッコリ穏やかに笑った。


「先輩、忘れたなんて言わせませんよ」

『ねえ、覚えてる?』
またあの言葉がフラッシュバックする。

「ちゃーんと、覚えてますよね?」

忘れられないあの約束。
忘れられるわけがないんだ。

「覚えてる」

「ならよかったです」

稟汰は、一切つっこんでこなかった。
ちゃんと一線を引いていた証拠。

やっぱり稟汰も私のこと知ったら離れていくはず。


「先輩って中学時代本当にかわいかったですよねー」

「それ以上言わないで……!!」

でも待って……今ココで言わなかったとしても明日学校でバラされたら?

どう考えても私が不利だ。
どうする……?

「先輩の裏切りも……あの人が知ったらどうなるんですかね?
深歌、でしたっけ?」


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