忠犬彼氏。


「だってお前……紗耶香が誰と関わってるか聞いてきただろ?」

「あ、そう、だったね」

もうこれ以上……聡真の話はしたくない。

「知り合い?」

「知らない!そんなヤツ、知らない!!」

つんざくようにそう叫んで私は教室へ走った。



私は、聡真のことを、全然知らない。

何が好きとか、嫌いとか。
休みの日は大抵何をして過ごすとか

何も、知らない。

知ってるのは、ずるい人だと言うことだけ。



「璃子?何かあったの?」

「何にも、ないよ?」

繰り返さない。深歌のときのような過ちは、もう繰り返さない。

「嘘だ!璃子にゃん、何にもなかったような顔してない!」

私も、本当に馬鹿。
顔に出したら、意味ないのに

「璃子、言いたくないんだったら聞かないけど、嘘はつくな」


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