忠犬彼氏。
「璃子」
「何よ……」
「忘れたとは言わせないからな」
忘れた……なんて、言えない。
「聡真……何故、連れ戻しにきたの」
「タイムリミットだ、璃子」
「タイムリミットなんて……言われた覚えない」
「ああ、言ってないからな」
変わらない。相変わらずなんだ。
「俺が、勝手に決めたからな」
「言われないとわからない」
「お前の都合なんて知らん」
相変わらず、ひどい人。
「私、もう聡真のことなんて好きじゃないよ」
私のその言葉に、聡真は鼻で笑った。
「何か文句でも?」
「璃子はツンデレだからな」
薄ら笑いを浮かべ、私の髪の毛を弄(もてあそ)ぶ。
「アンタ……何だってんだよ!」
華音がハッとして、声を荒げた。
「お前こそ、誰だ」
「璃子の、友達」
そしてまた、コイツは笑うんだ。