忠犬彼氏。


樋山は、一瞬ショックを受けたような顔になったが、直ぐにしょんぼりとして、すこすごと自分の席に戻っていった。

いや、あの、私……家に帰れって言ったんだけど?

まぁ、いいか。


「本当、男にはとことん冷たいだけあるよね」

「別にそんなつもりじゃない……」

「嘘」

華音はそうやってすぐ見抜く。
だから、バレちゃうのも時間の問題なのかもしれない。


「まーまー、取りあえずうちらも席着こー?
観音様、璃子にゃん」

「観音様……?」

「ありゃりゃ?やだった?」

「あったりまえでしょーがっ!」


その後すぐに美那都が頭に大きなたんこぶを作ったのは言うまでもない。


あれは痛そうだった。
女王様じゃなくて鬼だ。
まさにリアル鬼の形相。

泣く子も喚くよ、あの顔は。

いやぁこれが漫画じゃなくて良かったよ。

うんうん。

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