忠犬彼氏。


「柴……私、正直言うとアンタの気持ちから逃げてたよ」

本当は……

「柴の気持ちだって、わかってたよ」

そんなの柴の態度とか、目とかみたら、丸わかり。


「知ってて、逃げてたんですか?」

「ご名答」

「何でですかっ……!」

柴、アンタ私を好きでいても、いいことないよ?
きっと、辛いことばっかりだよ?


「それは言えない」

「信用、ないんですか?」

まぁ、普通にそうなるよなぁ。

「違う」

だって、柴……アンタ忠犬じゃん。
信用ないわけないじゃん。


「無理、なんだって……」

付き合うとか、男とか、全面的に駄目。


「それは、聞いちゃ駄目ですか?」

「話せない。
ねぇ、柴はトラウマって知ってる?」

「あ、はい、まぁ……」

「そういうことにしちゃ、駄目?」

「そんな、そんな悲しそうな顔されたら駄目なんて言えるはずないじゃないですか!」

私、そんな悲しそうな顔、してた?

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