忠犬彼氏。


「先輩、笑った方がいいですよ!」

たしかに私は、氷なのかも。

「いいよ、私は。性に合わないんだから」

神様、あの日の誓いを破るかもしれない。
だけど、少しだけ、少しだけ許して。

「えー……先輩の笑った顔、可愛いのに……」

「私の代わりにさ、柴が笑え」

「お願いとかじゃなくて命令なんですね!?」

「だってアンタ、私の犬でしょ」

「出来れば友達……いや、彼氏に昇格したいです!」

「調子のんな!!」


ベシッと思い切り頭を叩いた。

「先輩ってツンデレですか?」

ニヤニヤ笑うな気持ち悪い!
お前はニコニコニコニコお日様みたいに笑ってりゃいいんだよ。

「八つ裂きにされたい?」

「デレはないみたいですねー」

M?
かなり罵られ(?)てるのにニッコニコニッコニコ笑ってんだけど!?

仏様かっ!

あ、ごめんなさい。
仏様に対する最高の侮辱を……!

「コロス」


「柴にゃん」

え、何コイツ。
自分で自分のこと柴にゃんって……。

引く、全力で。

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