忠犬彼氏。


「お前じゃない、私にはちゃんと華音(カノン)と言う可愛らしい名前が……」

「うわー、可愛らしいとか自分で言っちゃったよー……」

駄目だこの子。
完全に痛い子だよ。

いや、まぁ痛い子なんだけどもね。


「墓穴!ギャハハハ」

そしてこっちはこっちでまだ笑ってやがるし。

私、友達間違えたかもしんない。
いや、確実に間違えた。
うん。百パーセント間違えたな、こりゃ。

「あのねぇ、アンタらいい加減に……」

視線……?

バッと後ろを振り返る。
と、男子。

誰……?

「あのっ……青田さん……」

「アンタ誰?」

「……す、すみませんでしたぁ!」

ダッシュで何処かに言った男子。

よしA君と名付けよう。

「何でA君ダッシュで何処か行ったの?」

「墓穴、ギャハハ」

コイツじゃ駄目だ話にならない。
文字通りまじで話にならない。

「華音、何で?」

「だってあの人隣のクラスの人だし」

「は?」

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