忠犬彼氏。


「璃子にゃん男子嫌いだから」

「まじで?あ、青田なんかごめんな」

そう言って彼は走り去っていった。


この学校に、私を知る人はいない。
美那都や華音でさえ、別の中学出身。
まぁ、色々話したから知ってるんだけど。


「樋山は、悪くない」

もう彼のいない廊下にポツリと呟いた。

「……璃子」

「わかってる。
別に男子全部が全部悪いんじゃないって」

それでもさ、やっぱり怖いんだよね。
だからわざと、虚勢を張ってしまう。

「行こう。そんな暗くならないでよ」

私のせいで二人にそんな悲しい顔させられない。
柴は、丁度いいのかもしれない。
二人を安心させるために。


「でも璃子……」
「璃子にゃんの言うとおり!
私らが暗いとか気持ち悪いじゃん」

美那都……アンタの株、右肩上がりだよ。

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