忠犬彼氏。
「ずるいです」
「ずるいのは柴だし」
男の癖にこんな可愛くてさ……
あ、だから私、柴のこと平気なのかも。
女友達的な目線で見れるから。
なるほどねー。
「美那都、私はなんだかとても柴君が哀れに思えてきたよ」
「それは私もですよ華音たん」
何をコソコソと話してるんだか。
「っつかアンタもうそろそろ遅刻じゃないの?」
「あ!」
「ばいばい」
「つやつやした笑顔で言わないで下さい!!」
そう言いつつも遅刻は嫌みたいだから走って出て行ってしまった。
嵐は去った。
「なんか柴君頑張るね」
「本当本当」
「だってさ璃子、考えてみ。
ここまで懐いて好いてくれてって人今まででいたぁ?」
懐いて、好いて……
「いなかったこともない」
私は誰にも聞こえないような声でポツリと呟いた。
勿論二人にも聞こえてないようだ。