忠犬彼氏。


「羽柴君、私たちに嫉妬してるんだぁ」

「悪いかよ!」

まじ犬みてー。
無駄に忠犬。


「三人は女の子として好き、大好き。
でも柴はオスで犬でしょ」

「お、オスって何ですか!
まだ男の子の方がマシですよ!?」

「柴、ハウス」

「な……!」


たしかに、柴は男の子。
でも、そんなこと言っていいわけ?
私がアンタを“男”と判断したその瞬間から、一緒にいれなくなるんだよ?
柴は、そうなったら、寂しくないの?

あれ?本当に寂しいのは、柴?
私……寂しい?

ち、違う絶対違う!
あれだ、ペットと別れたくないっていう家族愛?
それに、決まってんじゃん……。

「ごちそうさま」

そう言って私は席を立った。

「え、璃子先輩、もう戻っちゃうんですかぁ?私たちもう少しお話ししてたいです……」

「ごめんね……あんまり、ジロジロ見られるのは、好きじゃなくて」

知らない人が、知らない男子がたくさんいるこんな環境は、私にとって息苦しいものの、何ものでもない。

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