忠犬彼氏。
「私、つまらない奴には興味ないから」
そう言い捨て、私は自分の教室へと向かった。
しかし廊下で全てを見ていた生徒たちによって
“女王様はつまらない奴をお気に召さない”
などという噂を囁かれ、たちまち学校中に広まるなどということを私は知らなかった。
そしてこの先、それに気がつくことはないだろう。
「せんぱっ……璃子先輩!」
柴が必死に私の後を付いてきていたようで、息を切らしながら横に立った。
「何」
「はぁはぁ……送り、ますよ」
「いらん」
「そんなこと言わずに、ね?」
「何が、“ね”だ。少しは黙れ。
そしていらんからさっさと帰れ!」
可愛く言ったって私には効かない……効かないんだから!!
「先輩……寂しそうな顔してますよ?」
「目の錯覚」
「そんなわけないですよ!」
なんで、私(飼い主)の言うことが聞けないかな?
「ほっとけっつってんの、まじそういうのうざい、失せろ」