忠犬彼氏。


「そんなの……」

いらない、でしょう?
それくらい知ってる。

「……アナタが思ってるより素晴らしいものなんかじゃないよ私」

「そんなことないですよ!」

「うるさいな!何にも知らないくせに……」

まただ。
また、変なこと、口走ってる。

「……よく知ればいいって、そう言ったのは先輩ですよ?
俺は知ろうとしてるのに先輩は一向にさらけだしてくれない」

だって……私のこと知ったらきっと軽蔑する。

「これ以上私たちの関係が深くなったら一緒にはいられない。
犬と飼い主、それくらいが丁度いい」

つかず離れず。
それが最善。

「せんぱ……」

「もし私がアンタを“男”として見るようになったら、私はアンタを拒絶する。
それこそ一緒にいられなくなる。
アンタは柴はそれでも構わないの?」

アンタがどれくらい私に本気なのか……。
少し、興味があるんだ。

< 70 / 204 >

この作品をシェア

pagetop