忠犬彼氏。
「よく、ないです。
でも……俺だけは平気にするような勢いでアタックしますから」
本当に何でアンタはそんなに真っ直ぐなんだよ。
「でも先輩……“先輩”はどうなんですか?」
「そんなの」
そんなの知らない。
自分の気持ちなんて全然わかんない。
「清々するに決まってるじゃん!」
「先輩って嘘つくの下手ですよね」
嘘なんかついてない。
なんでアンタはすぐそうやって……!
「訳わかんない顔、してます」
何でアンタには私にもわかんないような事わかっちゃう訳!?
「柴なんて嫌い!」
「本当に先輩は大嘘つきですね」
柴はまだ涙を流す私の手を引き、二年の教室に向かった。
なんかまるで私が年下みたい。
そんなの、我慢ならん!
「離せ!」
「わっ!」
柴の手をふりほどいて仁王立ちをした。
「生意気!犬は犬らしく私に引かれてろ!」