忠犬彼氏。
「華音と美那都といて、幸せ」
「璃子、人間なんてものはね、異性がいなくちゃいけないのよ」
「は?」
なんか私それなりにいいこと言ったつもりなのになんだか全力でスルーされた気がする。
「最終的には、だけど」
「ごめん華音さんの話が大人すぎてすっ飛びすぎててよくわからん、っつかね、わかりたくない」
わかるようなわからないような
だがしかし、何よりもわかりたくないからあえて理解しない。
「本気で愛したことがないだなんてそんな虚しい人生送っちゃ駄目」
あのねぇ、華音ね、勘違いしてると思うよ。
「私にだって本気で愛した人くらいいるから」
「「嘘だー!!」」
「失敬な!」
海に沈めたろうか。
「事実だって」
きっと大人はたかだか中学生の恋だろう、と鼻で笑うだろう。
それでも私にとってはされど、だ……。